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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
時計をは22時を過ぎようとしていた。


私は、寝室の床に座り込み
《Il mio profumo》
を眺めていた。


安岡さんに言われて、意味を調べた。


あの時は、嘉之を愛し抜ける確信があった…。


本当は、この作品も特に意味がなかったんじゃないかとさえ思う…。


「もしかして、ネコのためだったり…。」


家族かぁ~
嘉之、結構実家思いだしな…
私は、嘉之の家族になれるのかな…。


瞬間、涙が溢れ出した。


「やだ…ウソ…」


最近、涙脆くなった。


それも何が切っ掛けで泣くのか分からない時もあるくらい、私は情緒不安定だった。


「ふっ…ひっく…」 


私、こんな泣くことなんてなかった…。
こんな弱くなかった…。


これから先、嘉之どころか自分自身も支えていけるのか不安になる。


ふいに、梶さんの言葉が頭を過った 


『唯一の支えてだった妻も限界がきて…ポッキリ折れてしまったんだ…』


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