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理想と偽装の向こう側
第4章 同棲スタート
ピンポンダッシュ出来なかったから、電車以外は小走りした。
思えばなんで走ってるんだ? 


小走りが効いたか割りと早く帰れ、
1208号室にたどり着いたらホッとした。


一呼吸して、ドアを開ける。


「お帰り~!香織ん!」


そこにはエプロン姿で元気全開の小田切さんの姿。


「た、ただ今です」


「予想より早かったね。着替えてきなよ」


「う、うん」


エプロン姿の小田切さんもカッコいい。
イケメンは何しても、様になるのね。


などどボヤきながら手洗いして、動きやすい服に着替え、台所に向かう。


「お待たせしました…」


「はい!香織んの!」


満面の笑顔で差し出されたのは…


「エプロン?」


「そう~!香織ん用!」

………


まさかエプロンを男性からプレゼントされるなんざぁ、お初ですわ
…てか女性でもなかったよ!


余りのインパクトに固まっていると。


「香織ん、野菜切って!形は任せるから。俺はあめ色玉ねぎ炒めて、今カレー粉作りしてるから!」


「 はっ、はい!!」


小田切さんの勢いに釣られて返事して、野菜の皮を剥き初めた。


………小田っち…本気過ぎやしませんか?


「切ったら、炒めて~お湯入れたらローリエと、隠し味にリンゴのすりおろしを入れて~。サラダも用意するから…」


自分の事をやりながら、私の進行も見てテキパキ作っていく…。


男の人の独り暮らしにシステムキッチンだったのは、小田切さんの趣味だったのかな?


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