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理想と偽装の向こう側
第4章 同棲スタート
あっという間にカレーも煮込み段階になり、ちょっと落ち着いた。


小田切さんの手際良さはビックリしたけど、一緒に料理するのってこんなに楽しいもんなんだと、ワクワク感の余韻が残っていた。 


「小田切さん…凄いですね…尊敬しました」 

「やっと~!?」


いたずらっ子みたいに笑った。


「いや…最初どうなる事やらと思いましたが、素直に感動しました!」


「カレーは基本いつも一人で作るんだけどね。今日は香織んと一緒に作りたかったんだ」


嬉しそうに話す小田切さんに、誉められた子供みたいな気分だった。


何より…


『香織んと一緒に作りたかったんだ』


その言葉が胸にキュンとキタ…。


カレーを煮込んでる間に、私はお皿を用意し、小田切さんはサラダを盛り付けてる。


「それにしても手際がいいし、料理とか習ってたんですか?」


「独学でね。自炊してる内に凝りだして。でも、俺の母親が男も料理の一つくらい出来ないと、一人前になれない!食は基本だ!って小さい頃から家事とかやらされてたからかな」


「へぇ~素敵なお母さんですね!」


本心から思った。小田切さんの細かい気配りとか、お母さんの影響なのかもしれない。


「そう?今じゃ感謝だけど、当時は不満たくさんあったなぁ~裁縫とか出来たら、クラスメイトにドン引きされたしね」


「はははは~!」


スイスイ繕い物をしてる小田切さんを思わず想像してしまった。


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