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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
「アイツの相手、大変でしょ」


安岡さんは苦笑した。 


「もう、別れててもおかしくないかなって思うこともあったけど、嘉之もまだ続いてる言ってたからさぁ~正直驚いたんだよね」


「嘉之が…私のこと?」


「俺が心配で聞いたんだけどね…でも、照れくさそうに話してたよ。アイツなりに渡辺さんとのこと考えては要ると思うんだ…」


腐れ縁だから分かるのかな?
でも…


「正直…分からなくなること、いっぱいあって…嘉之にとっての私の存在価値とか…」


「お待たせしました。」


ウェイトレスさんが運んできたコーヒーを安岡さんは、一口啜った。


「アイツ本当に不器用だな~!ごめんね渡辺さん押し付けちゃって!てかマジ渡辺さん凄いわっ!アイツ絶対、渡辺さん離さないと思うよ!全人類でここまで嘉之に付いて行ける人中々いね~もん!」


酷い言い様だな…


つい笑ってしまった。


「クスッ…安岡さん、嘉之に厳しいですね。いったいどう思ってるんですか?」


「あ~暴君!それも気を許せば許すほど甘えっぷりが増長するから質悪い!」


安岡さんは、本当に渋い顔をしていた。

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