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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
「私…嘉之を信じてれば、いいんですかね?」


「う~ん…信じてもらいたいけど…俺から一言、苦言しとこうか!」


安岡さんのその言葉はありがたいけど…
後が怖い。


「ありがとうございます…お気持ちだけで…大丈夫です」


「だよね…拗ねるだろうしな~面倒だなぁ」


「はは…本当に親友なんですね!」


「なんだろね~アイツ。何か見捨てられないんだよね~」


安岡さんは、腕を組ながら首を傾げた。


安岡さんも梶さんも…嘉之のことを理解して私を心配してくれてる人がいるだけで、少し心強かった。


「因みに、嘉之なにしてんの?」


「実家にこないだ帰って…その後コンテストに応募するから忙しくなるって」


「実家か…久々に帰ったんだ。何かあったのかな?」


安岡さんには、お兄さんのこと話してないのかな…。


「お兄さん…婚約したので親族で集まったみたいですよ」 


「…そっか…。アイツその前後様子どうだった?」


不思議な質問だな…


「ちょっと…様子はおかしかったかも…」


「んで…コンテストね~」


安岡さんは少し考え込み


「渡辺さん、嘉之さぁ正念場だと思うから、しばらく会えなくても見守っててくれるかな」


「あ…はい」


今は、会えないくらいがちょうどいいし…。


「有り難う!これからもアイツのこと宜しく頼むね!」


そう言って、安岡さんは両手を合わせていた。 

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