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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
安岡さんと別れてか、最近憩いの場になりつつある、川を見にきた。


眼を瞑り、サラサラと流れる水音に耳を傾ける。


結局、嘉之の本音は良く分からなかった…。


安岡さんは何か察したみたいだが、ハッキリとは教えてくれない。 


男女の違いかな…。


安岡さんなりに嘉之の立場も立ててた感じがする。


『アイツ絶対、渡辺さん離さないと思うよ!』


どういう意味だろう?
私には奴隷か召し使いにしか思えない…
変な期待は持てないよ…。


「正念場か…なんのだろ?」


自分の地位の確保かな…。


名も知られてきたし、ここで大きな結果を出せば基盤はもっとしっかりするし…

何より『自信』になる。


自信か…

私はどうしたら自信を持てるかな…。


ここに存在してる価値すら分からない。


それくらい嘉之に人生を『依存』してしまってたんだ…。


だから…
離れられないのかな…。

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