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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
日曜日

現実と夢の狭間を漂いながら、重い頭がもたげる。


時計を見れば、もう15時になっていた。 


嘉之との歯車が狂ったまま、小田切さんに波動させてしまったのだろうか。 


元々、成り行きから始まった同棲…。


偽装だけど、私はすっかり小田切さんとのこの同棲に身も心も委ね過ぎていた。


小田切さんの優しさと温かさに甘えてしまっていた。


居心地が良すぎて、抜けれなくなる…。


その証拠に、私は小田切さんに惹かれ始めた…。


あんなに嘉之を愛し抜こうと、決めてたのに…。


小田切さんにも嘉之にも、一気に罪悪感か芽生え始めて、何とも言えない焦燥感に陥る。


私…ここに居ちゃイケないんじゃないかな…。


いくら小田切さんが利用していいって言っても、ここは小田切さんと彼女の新居だったんだ…。


それなのに小田切さんは、帰って来ない。


胸元の痣が罪の証みたいだ…。 


私は痣の上の服を握り締めた。

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