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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
月曜日

出社したら井関さんが嘉之から電話あったことを聞かされたが

 
「久々にバッタリ会いまして、お茶したんで仕事を気にしてくれたみたいなんです」


「そうだったの!いきなり直通で掛かって来たから何かあったのか心配したわ。なら良かった!」


と、何とか誤魔化した。


嘉之一人で、色んな人が掻き乱されるな~!
もうっ!



******

私は仕事帰りに、ある店に寄った…。


前に通り掛かっただけで然して気には留めてなかったが、今日はどうしても調べたいことがあった…。


お店のドアを開けると、甘い香りがした。


お香を取り扱ってる専門店である。


でも…お香が欲しい訳じゃなかった。


小田切さんの車と、ハンカチに染み付いてた香りが気になったからだった…。

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