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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
時間帯的に人通りは無かったものの、かなり時間が経っていた。


唇で嘉之の感触を感じながら、頭の中は小田切さんやイタリアの事がグルグル回っていて、身体に力が入ってしまっていたようで…


「…香織…なんか緊張してる…?」


「えっ!!緊張?」


「肩に力入ってるし、手もほら、スカートしわ寄るよ」


膝辺りを見ると、かなり手に力が入っていた様でスカートがしわくちゃになっていた。 


「なんか突然なことばっかでビックリしちゃって…」


「そっか…でも、これからは結構一緒に居れるから」


「えっ!!」


「ははっ!何そんなに驚いてんの!」


笑顔で嘉之は左の掌で私の頬を包み、額をくっ付けて


「イタリア生活、楽しみにしてるからさ…」


何で…このタイミングなの…。


「ご、ごめん…とりあえず今日は…」


「あぁ、中華パーティーだろ。土日は空いてる?」


ギクゥッ~! 

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