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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
はっ!しまった!
無意識に力を込めちゃったよ!


私は一人テンパってると
…右手にギュッと力が入る感覚がした。


小田切さんは、優しく握り返してくれた。


ドキュンッ!!
な、なにっ!!


小田切さんをそっと横目に盗み見みると、顔は画面に食い入っている。


小田切さんも…
無意識かな…条件反射だったのかも。


彼女ともこんな感じったのかな…?


急に考えてしまった。


彼女さん…
どんな人だったんだろう…。


小田切さんから、彼女の面影が消える時がくるのかな…。


それまで傷の舐め合いって名目で、こんな感じに甘え合えてしまえばいいんだろうか。


なんか…ドロドロしそうだな…。


自分の汚い部分を突き付けられていく。
ついさっきまで幸福感が湧いていたのに…。


この時間を空間を壊したくない…。


嘉之の時は、小さな疑心から一瞬で崩れていった。


どうか…
純粋に小田切さんの優しさに応えさせて下さい…。


思わず、誰ともなしに願ってしまった…。

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