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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
「なっ!」


「先に下で待ってるね~!」


小田切スマイルを振り撒いて、余裕な感じで出て行った。


「パタン…」


ドアが閉まる音と共に、私は床にヘタヘタと座り込んでしまった。


小田切さん…
分かったんだ…虫じゃないって…。

そりゃ…分かるか…
それにしても、まさかあんなことするとは思わなかった!


とりあえず着替えよう。


フラフラと部屋に行き、首元が隠れる服を取る。


着る前に痣があったところを見てみると、嘉之の付けた小さな痣は、小田切さんの痕に掻き消されていた。


『害虫駆除…』
『虫と、間接チューかな?』


カーンッ!!


小田切さんと嘉之が、まだ見ぬ相手に対して、戦闘開始のゴングを鳴らした気がした…。 


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