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理想と偽装の向こう側
第13章 対決
土曜日

嘉之には昨日、小田切さんと話した後にメールした。


『土曜日の午前中からならいいです。』



夕方だと、帰らせてもらえないかもしれないし…
まあ、午前中もありえる可能性だけど。


以前、2ヶ月半無視したら、大変な目にあった…。


今回は半年…
でも、最初は私は連絡を入れていた。


忙しいからと言ってきたのは、嘉之だよね。

でも…そんな正論、嘉之には通じない…。

通じてれば、こんなに悩まないのに…。


先週渡されたケースにしまった指輪を眺める。


今日こそちゃんと言うんだ…
今更傷が増えたところで、変わりはしない。


『何かあったら…駆けつけるからさ』


その言葉が勇気をくれた。


「小田切さん…」


よっし!頑張るぞ!!


部屋から出ると小田切さんが、待っていてくれた。


「香織ん…やっぱり近くで待ってようか?」


本当に心配してる顔だ…。


「大丈夫です!必ず帰還しますから、ここでご馳走用意してて下さい!」


「香織ん…分かったよ。無茶するなよ」


小田切さんは、ギュッと抱き締めてくれた。


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