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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
嘉之の手を払って、ドア付近で立ち止まる


「どういあつもりよ…会社をまた利用して」


憤りが込み上げる…。


いくらなんでも、やり方が卑怯だ。


「俺だって客になるし、元々は関係者だぜ」


そんなこと言ってのける始末。


「それより入賞のお祝いまだしてもらってないんだけど。ワイン頼んだから一緒に飲もうぜ」


片手に持ったワインを持ち上げ、笑顔でそう言ってきた。 

この期に及んで、まだ言うのか。


「あのさ…こないだ話したよね。私もう嘉之とこういうことしないし、会わないよ」


「ははっ!そんなの香織が勝手に決めたって、俺が承知しないし」 


出たっ!暴君!


「私、仕事あるから会社に戻る!一人で祝杯して!」


よっしゃ!言ってやった!


意気揚々と、ドアノブに手を掛けた瞬間だった…。


「ジョボジョボジョボッ!」


水分の音と共に頭から水浸しになり、髪の毛が水滴を落とす。


途端ワインとアルコールの香りが漂う。


嘉之が、手に持ってたワインを頭上から掛けてきた。

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