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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
シャワーを浴びて脱衣室にでると、いつの間にか服はクリーニングに出されていた。 


とりあえずクリーニングが出来上がるまで、バスローブを羽織るしかない。


髪を拭きながらバスルームを出ると、嘉之がドライヤーを持って手招きをする。


「香織、髪乾かしてやるよ!」


前にもあったな…このシチュエーション。


「いいよ…自分でやるから」


「いいじゃん!やらせてよ!」


どうせ、いつも私に選択権は、ないんだよね。


「…分かった…」


渋々ドレッサーの椅子に座り、嘉之がドライヤーのスイッチを入れて、優しく丁寧に私の髪を鋤きながら乾かしていく。


前にも思ったけど、手慣れてる。


「こうゆうの好きだった?」


「う~ん、何か仕上げてくのは好きだよね」


「ふ~ん…」


こうゆうことには、簡単に『好き』って言えるんだね。 

「知り合いがバンドやってて、メイクとかしてやってたから慣れたんだろうな」


「へぇ…メイク…」


「髪もツンツンに立ててやったな」


凄い楽しそうに嘉之は話しながら、私の髪はサラサラに乾かしていく。

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