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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
「しばらく…アパートに戻ります…」


「えっ…」


身体を離し、小田切さんは驚いた表情を見せた。


「なんで?アパートの方が危ないだろ?」


「…来週から…嘉之が毎日迎えにくるって…断ったら今度は何してくるか分からないから…」


「あいつ…でも、そうしたら…さっきみたいな…」


小田切さんは言いかけて、口をつぐんだ。


携帯で聴かされた情事を思っただろう。


「でも…安心すれば逆に何もしないと思うし、2ヶ月後にはイタリアに一旦行くから、そしたら落ち着くと思う」


「2ヶ月…」


沈黙が走る…。


「2ヶ月後の保証…あるの?」


「うん…嘉之のギャラリストやその取引先も絡んでるから、その予定は嘉之でも変えられないはず。来年からは最低2年、住むことになるから…それまでにはケリを付けるよ」


「それしか…ないの?」


「…うん…今時点はそれしかないと思う」


小田切さんは、今までにないくらい、辛そうな顔をした。


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