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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
緊張していると、小田切さんが私の襟足に触れてきた。


「ひゃっ!」


な、なんですか!?


「湯上がりの浴衣姿に、髪上げてるのって…色っぽいよね…」


ツツッと、襟首をなぞる。


「あっ!やっ!くすぐったいっ!セクハラですよ!小田切さん!」


「ははっ!セクハラだも~ん!」


また、ですか!


でも一つ一つが愛しい思い出になるんだよね…


と思いつつ、部屋を戻るまでの間確実に小田切さんは、廊下でスレ違う数人の仲居さんのハートを奪っていった。


きっと仲居さんたちの視界に、私は入ってなかったろう…。


部屋に戻り、飲み物を飲んで一服する。


「あ~本当に温泉なんて、久々過ぎぃ~。大学時代に友達と来たっきりかも!」


「そうなんだ!じゃあ良かったよ」


小田切さんも寛いぎモードで、まったりしてる。


「浴衣ってさ~朝起きると、開けてるよね」


「ぷっ!そうですね。きつく縛っても、ズレちゃってるかも」


「前、社員旅行で~隣で寝てた滝島が、帯だけ巻き付けて、パンいちで引っくり返っててさ~朝から最悪っ!」


小田切さんは、渋い顔を見せがら話す。


「滝島さん、存在がネタですね」


「ま~ねぇ~飽きないけどね」


「はははっ!そして腐れ縁!」


本当に穏やかな時間だな…。

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