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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
エレベーターが止まってくれないかな…
とか色々考えてしまう。


嘉之の機嫌を損ねなければ、手荒いことはされない筈。


前にプロジェクトの締め切りで、ピリピリしてた時のことを思い出す。


あの時、あり得ないくらい自分も嘉之の為に必死だったな…。


毎日、仕事の後に嘉之のところ行って…
家事をやって…

今思うとあの時の一週間が一番、嘉之が落ち着いてたのかも…。


キス1つしなかった。


大抵なんかある時って、不安な時なんだろう…
じゃあ…不安にさせない為には…
イタリア行くって言うことか…。

じゃあ、行かないって言うことは…
地獄の一丁目だな…。


「チーン!」


着いちゃったよ一階…
再度、最上階まで行っちゃおうかな…
って、訳にはいかないか…。


暗い面持ちになってしまう。


勇気を奮いお越しエレベーターを降りて出入り口に向かうと、周りの女子が色めき立っている。


「ちょっと、あの人カッコいいよ…」
「マジッ!誰?」


はいはい…。
嘉之も、いいご身分だね…

顔を上げると、私を待ち受けてる人物が立っていた。


「あっ…」


「お疲れ様…」


泣けてきそうだった…。

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