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理想と偽装の向こう側
第15章 発動
ドクンッ!


アイツって…
嘉之のことだよね…。


「あっ…大丈夫…」


「大丈夫そうな、顔してないよ…」


小田切さんは、心配そうな顔をする。 


こうやって私たち、嘉之の存在に悩まされながら、日々を過ごしていってる気がする…。


「いつも…ごめんなさい…」


しょげると小田切さんは優しく抱き締めてくれ、お風呂上がりの身体の熱さと石鹸の香で包まれる。


あ…ドキドキする…。


すると


「嘉之…羨ましいよね…」


へ?何が?


「小田切さんが、嘉之の何を羨ましいの?」


トータル的に、世間から見たとしても小田切さんの方が勝ってますが?


「香織んの心から、絶対、離れる事ないじゃん…」


ドキッ―――ン!!


いや!小田切さんだって、今じゃ八割方は占めてますよ!


「そ、そ、そんな事ないよ!」


「そう?悩みの種ではあるけど…忘れさせないって凄いよね」


「あ…」


下腹部に手を当てた。 


心も頭も身体も…
嘉之の色に染めさせられていこうとする…。

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