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理想と偽装の向こう側
第15章 発動
電車から降りてトボトボ家路に向かうと、何か忘れているような気がした。


「あっ!」


薬局、寄れてない!


小田切さんが迎えに来るなんて、てんで考えちゃいなかったから。


私の急に叫んだ声に、小田切さんは


「ん?どうしたの香織ん?」


「あっ!赤ちゃん!さっきの人、可愛い子産まれるだろうね!」


しまった…
自分から微妙な方に話を広げてしまったよ。


「そうだね~楽しみだろうね。こればかりは男は体験出来ないもんな~」


楽しそうに話すけど、小田切さんは、子ども欲しいなかな?


「小田切さんは…子ども好き?」


「ん~?好きだよ!可愛いよね!」


子どもにまでS気出したりして…。


「ほ…欲しい?」


「えっ!子ども?」


「うん…」


少し間が空き


「欲しい…よ」


小田切さんは優しく、ちょっと切な気に微笑んだ…。


そっか…元カノさんと婚約してたんだもんな…
そこまで考えてたよね…。


色んな意味でドツボに、ハマってしまった。

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