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理想と偽装の向こう側
第15章 発動
金曜日

いつも楽しみな金曜日なのに…
気が重かった。


今日は


「ワインに合った、アンティパストを作ろうかと思って!」


意気揚々に小田切さんは言ってけど…まだ分からない限り、アルコールは避けておきたい。


今日こそ、買って帰らないと…。


オフィスの近くに薬局はないし、職場の近くで買うのも避けたい。


だからって、黎子に頼むのも申し訳ないし…。


「はぁ…」


ため息の出ない日が無い…。


卓上カレンダーに目をやり、来週のランチミーティングの日が近付く現実が、毎日に内から外からと迫られる。

 
どうしたら、このメビウスから抜け出せるんだろうか…。


お腹を擦り一抹の不安を感じる…。


『一生抜け出せないのかも…。』








生きてる限り…。

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