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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
水越さんは、眼を真ん丸くして固まった。


ドクンッ…ドクンッ…


心臓が今にも、飛び出しそうだ。


「私とですか?」


ドクンッ…


「うん…。水越さんと、二人で明日過ごしたくて」


かなりハッキリと、言い切ってしまったな。


「私なんか…」


彼女は、また真っ赤になって俯いた。


そんな彼女を覗き込みながら、再度押す。


「ダメ…かな?」


左右に首を静かに振り、首を傾けながら俺の方に顔を向けて


「ダメじゃないです。私なんかで良かったら…喜んでご一緒します」


顔が赤いまま、照れ臭さからか瞳が少し潤ませながら、俺の誘いを受ける。


ドキンッ! 
抱き締めたい…
そんな衝動が突き上げる。


俺の理性なんか、一気になし崩しにしていく。


天然の彼女の言葉や動作一つ一つが、反則技でお手上げ状態だ。

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