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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
気を引き締めて、今日1日を彼女が心から、楽しめるようにと願いう。


「水越さん、どっか行きたい所とかあるかな?」


「えっと…雑貨とか少しみたいかも。後は特に…小田切さんは?」


「俺?今日1日で水越さんのこと色々知れるなら、どこでも行くよ!」


「えっ!?」


水越さんは、少し頬を赤らめた。


「じゃあ、とりあえず任せてくれるかな?」


微笑みながら目線まで覗き込むと、彼女は照れくさそうにしてた顔がフワッと綻びる。


ヤバい…それも反則だって。


思わず弛みそうな顔を引き締めて、歩き出す。


「看護師って、仕事ハードだよね」

「あっ、はい!結構、体力勝負だったりします」


「せっかくの休日…ゆっくり休みたかったんじゃないかなって?」


「あっ!いえ…いつも一人でゴロゴロしちゃうんで、友達とも休みが中々合わないし、だからこうやって誘ってもらえて、本当に嬉しくて!」



俺を見上げながらニコニコ語る彼女に、胸の奥がキュンキュンしてくる。 


本当に乙女状態だな…。

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