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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
胸の内を悟られないように、あとは彼女の趣向を知り得るためにも会話をたくさんしていった。


「そっか…そう言ってもらえて良かった!お腹空いてない?」


「はい、まだそんなには」


「じゃあ、遅めのランチでも大丈夫かな…ベタにね映画とかも考えたんだけど、外したらつまんないし、そうなったら眠くなっちゃわないかなって!」 


「ははは!なるかも~!」


彼女は素直に、反応する。


「でしょ!でね、せっかくの休みだった訳だから、疲れが取れたらと思ってね…ここ巷で評判いいみたいなんだよね」


「ここ…ですか?マッサージ!?」


水越さんは少し驚き気味に、お洒落な外観のお店を見上げていた。


「そう、アロママッサージとか、女性が好きそうなコースがね、あるんだって。アロマとか平気?」

 
「大丈夫です!アロマポット持ってます!」


良かった…
中にはあの独特な香りがダメな人もいるし、ちょっと胸を撫で下ろした。


「じゃあ、入ろうか!」


俺はニッコリ笑い中に入って行く後ろで、水越さんが


「えっ!あっ!はいっ!」


慌てながら付いてきた。

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