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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
「滝島?」


「うん…滝島さんが、病院に来る度に…えっと…色々話しかけてくれて…」


「うん…」


あんの~お調子者!


「その度に…親友の話をしていくんです」


え…。


「親友…?」


水越さんは、目の先に見える噴水を見ながら懐古の様に語る。


「凄いカッコいい奴がいて…イケメンだし、スタイルもいいし、仕事も出来るし、面白いし、何より優しいって…」



「へぇ…」


誰だよ?
そんな奴、滝島の周りに居たっけ?


「モテるんだけど、本人が無頓着でモテなくてとか」


「ふぅん…」


ひでぇ言い様だな。


「俺は、その親友が大好きなんだって…。」


「う…うん?」


あいつ、やっぱりそっちの趣味もあったのか!


「だから…えっと…私にお薦めだけど…一回会ってみないかって…」


何だって!


「会ったの…?」


「会ったら…滝島さんの言ってた人だって…一目で分かって…素敵な人だなって…」


滝島…
企んでたのは、紹介してた奴がいたからだ。


「…何て奴かな?」


俺の知ってる奴だったら嫌だな…。


「小田切さんでした…」


あぁ…小田切…ん?


「って!俺っ?」


水越さんは景色に負けず劣らず、真っ赤になっていた。


「はい…」

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