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第20章 さよなら

私は、走っていた。


「はぁ、はぁ！たく！また何で！」


行き先は、嘉之のマンションだった。


安岡さんの電話では


『久々に訪ねたら嘉之キレて錯乱してて、死んでやるとか騒いでるから何事かと思ったら、渡辺さんと別れるかもって！尋常じゃないから一目だけ会って貰えないかな！俺なんとか宥めるから！』


そう言われたけど、最初は躊躇した。


嘘かもしれない…。


けど嘉之を知り尽くした安岡さんが、焦って言ってたし…
『命』を落とすような真似はさせられない。


私も『死』に対して敏感になっていた。


世の中には、生きたくても生きられない人がいるんだから！　


「ふざけないでよっ！」


焦りと怒りと、少しの情が心の中で絡みあっていく。