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理想と偽装の向こう側
第20章 さよなら
「えっ!渡辺さん!」


「どうなってもいいのぉ~?」


部屋を出ようとした私と、当惑してる安岡さんに向かって嘉之が投げつけた。


「好きにすれば!」


もう騙されないから!


「あいつも道ずれに、しちゃうよ!」


「えっ…」


「あいつ…って何?」


振り向くと、嘉之の眼が本気だった。


「安岡…有り難うな、ちゃんと話し合うから二人きりにしてもらえる?」


「あ…分かったよ。ちゃんと渡辺さんに謝って仲直りしろよ…」


安岡さんは、少し戸惑うような視線を私たちに向けて部屋を出ようとした。


嘉之と二人きりになったら、お仕舞いだ!


「安岡さん、待って!一緒に話を聞いてもらえませんか!」


「えっ!俺も!」


「お願いします!」


眼で訴えていたら


「分かったよ…いいよ!」


やった!
これでケリ着けよう!


と思ったら


「安岡…頼む…二人きりでとことん話し合うから…」


なっ!
胡散臭く、眼を潤ませてるし!

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