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理想と偽装の向こう側
第6章 予測不可能
頼んだAセットが運ばれ、添えられてるエビとアボカドサラダを食べる。


う~ん!この組み合わせは本当に美味しい!


「そうそう、渡辺さんトランスさんとの仕事、また出来るかもしれないわよ」


「えっ…」


「前回の企画がかなり好評だったから、第二弾が進むかもしれなくてね。特に渡辺さんをトランスさんが、また是非にって」


井関さんは、本当に嬉しそうに話してくれた。


「そうなんですか…光栄です」


「近々、顔合わせするから、その時は宜しく頼むわね!」


「はい!頑張ります!」


正直、動揺してしまう。


トランスポートコーポレーション…嘉之の作品を取り扱っている会社。


トラウマとは、簡単には消えないんだな…。


あんなに恋しかったのに、嘉之に関わることだけで、平常心が保ちにくい。


別に次の企画に、嘉之が関わるかは分からないのに。


何とか仕事を終わらせて、何故か急ぎ足で帰る。


メールの着信音がして、確認すると小田切さんからだった。


前回、寝転んでたのもあったから、帰りは何時になるかメールを必ずくれるようになった。 


『今日は、ちょっと残業です。21時頃になります(^-^ゞ』


「くすっ…顔文字だ…」


胸の奥が温かくなる。


舐め合いだから、辛くないのか…。


それでも今の私には、このぬるま湯が必要なんだ。 


小田切さんに会いたい…。


「一緒に住んでるのにね…」

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