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女子大生 成宮恵理
第6章 長い夜の始まり
「ごめん、脱ぐわ。ていうか着替えある?これ全部乾かしたいんだけど。」
「え、着替え?」
「前に大きめのジャージ貸してもらった事あるじゃん?あれでいいよ、恵理の元彼が着てたとかいうジャージ。」
図々しい奴。
でもその何の隔たりも感じさせない遠慮の無さが悠一郎の良さ、って前までは思ってた。
図々しいくらい何でも言ってくれた方が、私達は気心知れた仲なんだと思えて嬉しかったから。
ううん、本当は今でも嬉しいって思ってる。自分の中にあった悠一郎への思いに気付いた今でも。
でも、そんな嬉しがってる自分が嫌。だって苦しいだけだから。
「でさ、服と靴下は洗いたいんだけど。たぶんこのまま乾かすとすげぇ臭いと思うんだよね。」
部屋が汗臭くなるのは勘弁してほしい。
だから仕方なく悠一郎の濡れた服を受け取って洗濯機に放り込む恵理。
これも嫌。
自分の洗濯機に何の抵抗もなく悠一郎の服や汚い靴下を入れてしまえる自分が嫌。
きっと他の男の服だったら、気持ち悪くて入れられない。
洗濯機を動かし始めて部屋に戻ると、そこにはすでにパンツ一丁になっている悠一郎がいて、恵理はそれを見て思わず顔を赤くしながら目を逸らした。
「ちょ、な、なんでそんな格好してるのよ!」
「いやだって、ジーパンも乾かさないと。」
「わ、分かったから、早くジャージ着てよ。」
ジーンズを受け取った恵理は、代わりにクローゼットから出した元彼のジャージを悠一郎に投げつけた。
悠一郎はこうやって見ると妙に男らしい身体をしていたりするから困る。
身長は高いし、余計な脂肪が殆ど無いような引き締まった身体してるし、肌もやたらと綺麗だし。
奈々との性行為を盗み聞きしてしまっている恵理にとっては尚更、悠一郎の裸姿は刺激が強かった。
ああ、この身体に奈々は抱かれているんだ。なんてどうしても考えてしまう。
そして悠一郎の、あのセクシーな声を思い出して身体が熱くなる。
「はい、タオル。」
「サンキュー。」
悠一郎の濡れた頭にタオルを掛けると、恵理はキッチンでお湯を沸かしてお茶を入れ始めた。
至れり尽くせり。
元々世話好きな所があるからなのか、なんだかんだで悠一郎の冷えた身体を温めてあげたいと思っている自分がいた。