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女子大生 成宮恵理
第4章 失恋
隣同士で何か問題があるの?と聞かれれば、大いにあった。

それは悠一郎と奈々が付き合いだして2ヶ月程が過ぎた頃からだった。

恵理の部屋まで聞こえてくるのだ。2人のあの時の声が。

男女の付き合いをすれば誰でも必ずする〝あれ〟の事。

最初の頃はホテルを使っていたようだったけれど、なにせ2人はまだ学生でお金がない。

悠一郎の部屋に行けばいいのにって思ったけれど、よく考えたら悠一郎は大学が提供している激安男子寮に住んでいて、寮は異性の連れ込み厳禁だったからそれができなかったのだろう。

しかしそれは恵理にとっては迷惑な事だった。

微かに聞こえるとかそういうレベルではない、まさに丸聞こえ。

このアパートってこんなに壁薄かったっけ?

そういえば前はよくテレビ番組なんか見てると奈々からメールで『恵理今〇〇見てるでしょ~?私もそっち行って一緒に見ていい?』などときて、こっちの部屋によく遊びに来てたっけ。

あの時はプライバシーとかそんなに気にならなくて楽しかったから良かったけれど、今となっては問題あり。

どれだけ薄いのよ!ベニヤ板一枚かよ!ってくらい聞こえる。

しかし恵理はそれに対して親しい友人らしく『も~ちょっとぉ!聞えてるんですけどぉ!』と笑いながら突っ込む事などできなかった。

だって、ショックだったから。

あ~、2人は男と女として本当に付き合ってるんだな、私は1人になってしまったんだなと実感して、なんだか同時に2人の友達を一気に失ってしまったようで、ショック。


それだけ?

本当に1人になったと思うの?関係が変わったといっても2人が自分にとって友達である事には変わりはないのに。

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