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あなたとふたり
第16章 信じるものは自分の心

康太は私の姿を見つけると
こちらに向かって歩いてくる。
「‥…どうし……っ」
康太は何も言わず私を抱きしめた。
今日の夕方と同じ力強く…。
「…康太?辛いことがあった?」
康太は首を横に振る。
「…だったら…どうしたの?」
「遥香を優に渡したくない……」
小さな声でそう言った康太の声は
私の中を何度も通り抜けた。
「‥……女々しいのはわかってる。
悪かった。」
康太は私からゆっくりと体を離す。
「優のものになったお前をもう触る事が出来ない。
最後だと思ったら…
会いたくなった。ゴメン。」
どうして人の心はすれ違ってしまうの…。
私は康太が好きだった…。
好きだったんだよ。
今更…遅いよ…。

