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あなたとふたり
第17章 すれ違う2人。繋がる2人。
「『遥香……』」
「…優…ちゃん…」
確かに聞こえた…
私の名を呼ぶ愛しい人の声…。
また、涙が頬を伝った。
もう嫌だ…。
気付いた時には康太の手は止まっていた。
「優は、必ず迎えに来るよ…
ごめんな、嫌な思いさせて。」
康太はそっと私から離れると
携帯電話の電源を入れた。
康太は私に背中を向けていて
何一つ…表情は見えなかったけれど
私には解っていた。
康太が泣いていることを…。
私は堪らずそっと
康太の後ろから抱きしめた。
「康太、ごめんなさい。
…ごめんなさい」
康太は自分の胸のところにある私の手を
そっと握ってくれた。
「遥香、今日は泊まって行ってよ。
もう、何もしないから…
約束する」
握った手に力を込めた。
「うん。」
私たちは同じ布団で
より寄って夢の中へと落ちた…。
きつく、きつく
手は握ったまま…。