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あなたとふたり
第22章 偶然と必然
ついた先は以前住んでいた所よりも
綺麗なアパート。
玄関を開けると
嫌味かと言うくらい堂々と
女物のヒールが一足揃えてあった。
「…ちょっと…彼女いるじゃん…」
入るのを躊躇っていると
「…気にすんな…」と私の手を引く。
〜〜気にするわっ!
渋々、中へと入る。
中は綺麗に整理整頓してあって
ペアのグラスはあるものの
女性の気配はしなかった。
「そこ座って…」
言われるがまま、私は茶色のフカフカとした
ソファーに体を沈めた。
「コーヒー…飲める?」
「うん…」
台所では、カチャカチャと食器の音がし
コーヒーのいい香りが漂ってきた。
しばらく待っていると私の前に
コーヒーと、いくつかのチョコレートが並べられた。
優ちゃんのはソファーには座らず
少し離れた床にクッションを背中へ回し
もたれるようにして座っていた。
黙ったままコーヒーをすすり
伏し目がちな、優ちゃんの睫毛がとても綺麗。
ボーっと優ちゃんの顔を見ていると
視線をあげた優ちゃんと目があった。
「見とれんなよ」
よう笑う優ちゃんは
高校生の頃より…
大学生のはじめの頃より…
大人の男性だった。