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あなたとふたり
第23章 タイムスリップ
「遥香さん。
君には大切な人がいるみたいだね…?」
斎藤さんはチラッと私の小指のリングをみた。
「…はい。幼馴染で…」
「そうか…。
でも君は…忘れられない人がいるよね…?」
「…はい…」
「君はやっぱり、優君の言った通りの人だろうね」
「え…っ?」
「素敵な夜を過ごすといいよ。」
そう言って、優ちゃんの肩をポンっと
叩くとまた奥へと戻って行った。
斎藤さんの、背中から
優ちゃんへと視線を移す。
「…遥香…
食べたら出ようか…」
「…うん。そだね…」
私達は昔話をしながら
食事をした。
出会ったころの話…
高校での話…
康太の悪口…
決して、二人とも傷口には
触れないようにして会話を続けた。
優しい斎藤さんのパスタさえも
優しい味で包まれていた。
一生忘れられない味だった。