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あなたとふたり
第24章 内緒の予約
私は玄関で靴を履く。
「…じゃぁね。優ちゃん。」
「ん…」
優ちゃんが名残惜しそうに
私の頬を何度もさする。
「…また…っ会えるよねっ…」
涙が目に溜まって
堪らず下を向くとポロポロと雫が落ちた。
「大丈夫。会えるよ」
ーー大丈夫ーー
どれだけ優ちゃんのその言葉で
助けてもらったのだろう。
優ちゃんはゆっくりと頬から手を離し
顔を近づけ私にキスをした。
「俺はここにいるよ。」
私の胸の中心をグーでポンっと叩くと
いつもの笑い方で笑っていた。
私は優ちゃんに背を向け
トアノブに手をかけた。
スッと後ろから優ちゃんの細いけれど
逞しい長い腕が伸び、私を強く…
強く抱きしめた。
「遥香っ。
遥香…
行かないでくれ…」
そう確かに言った。