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あなたとふたり
第3章 優ちゃんの『優』
今の状態を把握するのに
時間はかからなかった。



私は優ちゃんに抱きしめられている…。




「ゆ…ゆうちゃん…痛い。」



そう言うと一層、私を抱きしめる腕に
力が入った。


「ーーっ。っっはぁ…。くっ苦しい。」



「暑い。」


頭上から一言声がした。



……え?暑い?



「なら、はなし…「いや」


……えぇーー!?




「おれの『優』は…」


「え?」


「おれの『優』はみんなに優しくするためじゃない。」


「優ちゃん…。」


優ちゃんは私からは離れると
スタスタと歩いて行く。


「俺、そんなに出来た人間じゃない。」


「遥香でさえ、簡単に傷つけられる。」




「優ちゃん!」


私は優ちゃんの後を追った。
これ以上離れてしまうと、きっと
心も離れてしまう気がしたから…。


「優ちゃん!ねぇ!優ちゃん!」

私が何度と後ろから声をかけるが
優ちゃんはただも黙々と来た道を引き返す。



「ーーっゆぅ…ゆうちゃん…」


なんだかとても悲しくて
辛かった。



その時だった。


「…っじゃねぇーよ。」



「えっ?」




「俺はいつまでも優ちゃんじゃねぇーよ!!」


優ちゃんは私をとても冷たい目をして
見下ろした。

それでも私の手首を掴んだその手には
全く力を入れていなかった。

表情はとても怖いものだけれど

手はとても温かかった。
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