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あなたとふたり
第28章 その手を離すな
約束の時間を10分ほど過ぎた頃だった。



「おぅ…………」




康太は私たちの座る席の前で固まった。




勝利を勝ち取ったかのような顔で
康太を見上げる優ちゃん。



「お前……っ!何でいるんだよ!!」





優ちゃんは聞いてないフリをして
追加のビールを頼んでいた。



私たちの正面に康太が座る。



キツネにつままれたかのような顔で
優ちゃんをジーっと見ていた。





「何だよ…もう迎えに来たのかよ…」


用意されたビールを一口喉へと流し込む。




「残念だったな。俺はこれでも我慢した。」



「このまま現れなきゃ良かったのにな」



「よく言うぜ。康太君も寂しかったろ?」


「馬鹿言うな。清々してたね!」



懐かしい二人の会話。

自然と顔がほころんだ。
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