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あなたとふたり
第30章 アカリ

しばらく黙り込んだ後アカリが口を開く。
「…正直、優を手放すのが惜しいのよ。」
「あんた、頭おかしくなったのかよ?」
「…そうかもね…。でも本心よ。
あなたを同じ会社に紹介したのも
高校の頃からあなたの魅力をわかってたからよ。
でも、宝物を傷つけるつもりもないわ。」
「珍しいな。無い物ねだりなんてしないだろ。
あんた。」
「本来の私はこうよ…フフッ」
「まぁ。あんたに借りがあるからな…
こんなデカイ会社に入れたのも
あんたのおかげだ。」
「借りは返さないくせに?
あのサヨナラを交わした日以降…
一度足りとも私に触れないくせに。」
女の顔はピクリとも動かさない。
いつもこいつは笑顔を作っている。
けど、解る。
こいつは今…苦痛の表情を見せている。
この10年。
アカリの弱いところなんて見たことがない。
だからこそ…
弱った時は手に取ったように解るつもりだ。
それが今だ。
「…正直、優を手放すのが惜しいのよ。」
「あんた、頭おかしくなったのかよ?」
「…そうかもね…。でも本心よ。
あなたを同じ会社に紹介したのも
高校の頃からあなたの魅力をわかってたからよ。
でも、宝物を傷つけるつもりもないわ。」
「珍しいな。無い物ねだりなんてしないだろ。
あんた。」
「本来の私はこうよ…フフッ」
「まぁ。あんたに借りがあるからな…
こんなデカイ会社に入れたのも
あんたのおかげだ。」
「借りは返さないくせに?
あのサヨナラを交わした日以降…
一度足りとも私に触れないくせに。」
女の顔はピクリとも動かさない。
いつもこいつは笑顔を作っている。
けど、解る。
こいつは今…苦痛の表情を見せている。
この10年。
アカリの弱いところなんて見たことがない。
だからこそ…
弱った時は手に取ったように解るつもりだ。
それが今だ。

