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あなたとふたり
第7章 優しい手と優しい唇
「…ちっ。誰だよ。」


その声が段々とこちらに近づいてくる。


腰が抜けて私は立てなかった…。


少し開いた扉が大きく開かれる。



そして、そこには
目を大きく見開き立ち尽くしたままの優ちゃん。



「は…るか…」

「あっ…。」


私は堪らず思うままに動かない足に
力を入れ立とうとした。


その手をいとも簡単に掴まれる。


「ーーーっやだ!」


とっさに出たのは拒否の言葉だった。


「…っく。…つ。…っく」

自然と頬を涙が伝う。


その顔をみた優ちゃんは
手の力を緩め、私の横を
通り過ぎて行った。



取り残された私は、
後から出てきた優梨ちゃんにも発見された。


「…あっ。先輩。」

焦りの色など微塵もみせないこの子。


「…っ。こっ康太に…言うわよ。」


「どうぞ〜。
康太君と優ちゃんの友情も壊れちゃいますね♡」


「ーーーーっ!」


この子やっぱり何なの!?


「私とは優ちゃんの関係知りたいですか?」

「知りたくなんて…っ!」

「あなたも優ちゃんに気持ち良くされたんでしょ?」

「私はそんなんじゃないっ!」


「なら…ほっといてくれます?」

低い低い声で彼女は言った。


「あんたのせいで優は私から離れたんだから。」

「康太君は渡さない」


とても冷たい目だった。
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