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金の月銀の月
第6章 break with my past
山田は美枝子からの着信に気付いた。

午後の仕事に追われていていた。

山田が出ると電話は無言だった。
「バッグの中で誤作動か?」
切ろうとすると、音と声がしている。

「美枝子。美枝子。。。美枝子は…」
男の声がして
そして、パンパンと音がしている。

「ん?なんだ?」

よく聞いてみると

「や…辞めて…お願い…」
美枝子の弱々しい声が聞こえていた。

「美枝子さん?」
山田は慌てて事務所を飛び出した。

電話を切らずに走った。

マンションはオートロックだが、
住人の出入りと一緒に簡単に入れた。

「ん…何階だったか…確か…一番上だ。」
山田はエレベーターを最上階に向かわせた。

マンションに美枝子がいるのかは分からなかったが、
とりあえず向かっていた。


「どの部屋だ?」
どの部屋にも表札は無かった。

ひとつひとつのドアの前に立ち、電話の音を聞きながら、中の様子を伺っていた。

「美枝子、愛してるよ。俺の美枝子。」
美枝子は蠢いているようだった。

「璃子は、俺の別荘でこれから暮らすそうだから。」
男の声がし、パンパンとする音が止んだ。

すると、山田が立っていた先のドアから、男がベルトを締めながら、出て来たのだった。

「美枝子が悪いんだ…」
ブツブツと呟いていた。

男が通り過ぎると、山田は男が出て来たドアを開けた。

そして、山田は酷い光景に驚いた。

どう見ても強姦だ。

美枝子の脚は開いたままで、体液が股から流れ出て
涙で濡れた顔を、腕には掴まれた痕が赤くなっていた。

美枝子の近くにバッグの中身とスマホが落ちていた。

「美枝子さん!美枝子さん?」
山田は美枝子の姿に驚いた。

美枝子は薄目を開けて
「山田…さん…あ…私は大丈夫…」

美枝子は手を山田の手に乗せた。

「警察に…警察に。」
山田は警察に電話をかけようとすると
美枝子は山田のスマホに手をやった。

「ダメ。電話は…お願い。私、大丈夫だから…」
美枝子の目から涙溢れ、流れた。

山田は状況がよく分からなかったが
美枝子が通報しないでくれと言うので、スマホをしまった。

「ごめんなさい。ありがとう。。」

美枝子は力無く手を山田の手に置いた。








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