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金の月銀の月
第6章 break with my past
一真と話す美枝子は震えてしまいそうだった。

山田が美枝子の手を強く握り締めてくれていたので
美枝子は強く冷静でいられたのだ。

「待って…連れて行くよ。」

「いつ?」

「明日…」

「ダメ」

「明日中に。」

「ダメよ。今すぐよ。」

すぐに璃子のスマホの位置情報を検索すると
一真の喫茶店に居る事になっていた。

「今すぐに行くから!」

美枝子は立ち上がろうとした。
山田は美枝子に手を貸した。

「美枝子さん、歩ける?」

「ありがとうございます。這ってでも行くわ。」

山田はしゃがんだ。
「さぁ、おんぶで。」

「え?そんな…」

「這うより早いよ。」

美枝子は山田の背中に乗った。
広くあったかい背中だった。

エレベーターで降りながら一真の店の場所を山田は聞き、マンションの前で美枝子を背中から降ろし、自分の車を取りに事務所の駐車場に行った。

大きな四駆の外車がマンションに横付けされ、
美枝子を乗せた。

車で5分もかからない場所だった。

店の裏の駐車場に車を置き、美枝子は深呼吸をしながら店の入り口に回った。

そして、ドアを開けると
一真が嬉しそうな顔をして美枝子に抱きついてきた。

「美枝子。また会えたね。嬉しいよ。」

美枝子は一真を睨みつけながら
「璃子は?」
と冷たく言った。

璃子は奥のテーブル席に座っていた。

「璃子?帰りましょう。」

「なんでママ来たの?」

「あなたの母親だからよ。」

「どうして愛し合う二人を引き離すの?」

美枝子は一真を睨みつけた。

「一真さんはあなたを愛してなんかいないわよ。」

「なんでそんな事言うの?」

美枝子は悲しい顔をした。









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