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金の月銀の月
第7章 Live in the present
美枝子は自分から離婚届の用紙を準備しようと
役所に向かった。

雅之の愛人も、愛人のまま子供を生むのも可哀想だし…

そして、役所で用紙を貰いそのまま記入をし、その足で自宅に向かった。

自宅のチャイムを鳴らしたが愛人は出て来なかったので、離婚届けをポストに入れた。

自宅を見上げ、そして振り向きもせずにマンションに向かった。


一真の店の前を通ると、ドアの調子が悪いのか工具を持ち何やらやっていた。

美枝子は懐かしい気持ちが溢れてきた。
一真の匂いや一真の声、一真の眼差しを思い出した。

「挨拶くらいなら…いいよね」

一真が挨拶もしたくないくらいに、自分の事を嫌になっているのなら、それはそれでいい。

一生懸命にドアを直す一真の後ろから美枝子は声をかけた。

「こんにちは。大変ね。」

「こんにちは、ドアの調子が…」
一真は振り向き美枝子の姿に嬉しそうな眼差しをした。

「み…美枝子さん。げ…元気ですか?今日は?」

「あ…今、家にちょっと…用事があって行ってきたの。」

「そうなんですか。あの…今日は寒いですね。急ぎの用事がなければ、お茶、飲んで行きませんか?」

一真は、美枝子の様子を見ながら誘った。

「ん…そうね。久しぶりに一真さんの煎れてくれるお茶をいただこうかな。」

美枝子は店内に入った。

つき最近、璃子を連れ戻しに来たばかりなのに、
懐かしく感じた…




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