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第12章 Scene.11

　
　カタギに絶対見えないヒゲ面強面。

　黒髪オールバックに、縦縞黒スーツに緩めた黒ネクタイ。

　確かに遠離る足音の数までは気にしてなかったけど。

「やっぱり居たか」

「あ、イヤ……あはは………」

　存在感の薄さを発揮されるとは思わなかった。

「………ヒトチガイジャナイデスカ？」

「反応しといて今更？」

「……ですよねぇ」

　と言うか、髪色も違うしパイパンなのに何故分かったのか。

「顔と体付きは変わってないだろ」

　やっぱり。

「途中すれ違った野郎に根掘り葉掘り訊いたらよ、此処にどスケベなオンナが居るって言ってたからな」

　直ぐ頭に浮かんだ、ムキムキマッチョのスキンヘッド男。

　口止めしておけば良かった。

「てか、初対面に根掘り葉掘り訊くとか…無いわねぇ」

「はっはっはっ」

　胸張って笑うトコじゃ無いんだけど。

「まぁ、仕方ないわね………。で、どうするつもりかしら？」

「ん？　どうもしねぇよ？」