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びっちカノジョ 【1期目】
第6章 Scene.05
 
 『お姉ちゃん』なんて呼ばれてドキッとした。

 ショタコンじゃない。

 絶対。

 小学低学年くらいの小さな体を伸ばして手招きしてくる。

「…なんで?」

「良いから、良いから」

 大通りに面した三階建ての雑居ビル。

 エントランスじゃ無くて、その脇の階段に脚を掛けて呼ぶ少年。

「…勝手に入っちゃダメでしょ…」

「大丈夫だってぇ」

 だから、数メートル離れてるのに、何で呟きが聞こえる。

「早くしないと見付かっちゃうよぉ?」

 何から?とは訊かない。

 その言葉だけで、アタシの脚が動く。

「ほら、こっちだよっ」

 鉄骨階段を身軽に上がっていく。

「まぁ、試しに行くのもいっか……」

 背後からお尻に視線を感じながら、階段に脚を掛けた。

「頑張ってね、お姉ちゃんっ」

 早くも一つ目の踊り場に立っている少年が笑顔を向けてくる。

「階段で息切れするほどおばさんじゃないんだけど………」

「あはは。ゴメンゴメン」

 またしても呟きを拾われながら階段を上がる。
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