この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿シリーズ☆番外編
第6章 彼の忘れられない人は……?
──トン、トン
扉がノックされる音に、ビクリと肩が跳ねる。
レオが舌打ちをした。
「……ったく、いいところを。アリエッタ、こっちへ」
悪態をつき、アリエッタを寝室へと連れ込む。
「誰かに見られるとマズイ。俺がいいと言うまでここにいてくれ」
そう言ってレオは寝室の扉を閉め、訪問者の相手をしに行った。
アリエッタはその場にへなへなと崩れ落ちる。胸は張り裂けんばかりに鼓動を打っていた。
レオとは数えきれないほど口づけをしてきた。それでも常にドキドキとさせられ、あの熱い口づけに蕩けさせられてきた。
だが今、胸が張り裂けそうなのは、それとはまた違った高鳴りだ。初めて口づけをするような緊張に、力が抜けてしまっている。
事実、今のレオとは初めて口づけしそうになった。
姿形は多少違えども、レオには違いはないのだが、彼に初めて逢った気さえする。
いや、彼とは初めて逢ったのか──と、もう本当に何がなんだか解らなくて、頭がぐちゃぐちゃだった。
どうしてここにいるのかや、元の世界へ戻れるかなど、考えなくてはいけないことが沢山あるはずなのに、煩い心臓の音がすべての思考を奪っていた。
.