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隠匿シリーズ☆番外編
第7章 その代償は
この店一番の人気だという、カカオがたっぷりと練り込まれたチョコレートケーキに舌鼓を打っていると、アリエッタが気遣わしげな視線を投げてきた。
「最近ジョシュアさん、お疲れみたいだけれど、大丈夫? ザキファス領のことでご迷惑おかけしていないかしら?」
「いえ、迷惑だなんてとんでもないわ! アリエッタのお母さまのお蔭で、私たちはこうしてラインハルトで暮らせているんだもの。でも……ジョシュアさんがお疲れなのは私も心配していたの。お仕事の愚痴などは言わない方で……。せめて私もなにかお手伝い出来たらいいんだけど……」
そもそもがジョシュアは仕事が忙しいからといって、顔に出すような人だろうか。他になにかあるのではと、それとなく訊いてはみたが、はぐらかされるだけだった。
リンゼイが出来ることといったら、仕事で疲れた彼が邸で少しでも癒される空間をつくることくらいだ。
だからアッシュブラン邸に倣い、使用人たちにも家族のように接し、居心地のいい場所になるよう努めている。
「えーっと、そのことなんだけどさ」
二人の会話を聞いていたニーナが、気まずそうに切り出した。
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