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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に
「ディラン……ですか」
やや間を置いて、レオの告げた名を反芻する。
「ああ。で、ジョシュアにはディランの教育を頼みたい」
「お待ちください。彼は……」
「解ってる。けどあいつはフットマンになってから随分と経つだろ。そろそろ執事見習いにくらいしてもいい頃だと思っていた矢先に、ジョシュアが任を離れることになったんだ。あいつしかいないだろ」
「私とてそれは重々承知しておりますが……本当に宜しいんですか」
「言うな。……ディランに問題があるのは俺だって知っている。だからとりあえずは執事候補、という扱いで教育してやってくれ」
眉間に皺を寄せるレオは、その顔を肘をついて指を組んだ手に額を乗せて隠してしまう。
ジョシュアは引き結んだ唇をそのままに、深く嘆息をした。
「……畏まりました。では早速本日より始めさせていただきます」
ジョシュアはレオに向かって一揖して、部屋をあとにした。
扉を閉め、その場で佇むジョシュアは宙を仰ぐ。その表情は彼らしからぬ気鬱さを滲ませている。
だが一旦蒼い双眸を瞼に隠し、次に開いたときには普段の表情が読み取れない顔をしていた。
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