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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




 何十種類もの葉巻は、種類ごとに箱に詰められ、その箱にはラベルが貼られる。


「知っての通り、レオ様は葉巻は吸われませんが、邸に来訪されるお客人は葉巻を嗜む方もいらっしゃいます。お客人の好まれる葉巻をすべて覚え、お出しするのも執事の仕事です。のちほど私が記したノートを渡しますので、覚えてください」


「これ、全部ジョシュアさんは覚えているんですか」


 頷くと、棚を見渡すディランは感嘆の溜め息を零す。


「覚えることはまだまだありますよ。これまで以上に国の内外の情勢に眼を配り、レオ様が新聞を読まれたあと、そのすべてにくまなく眼を通すこと。それから……語学は今、どのくらい話せますか」


「ええっと……2……いえ、3ヵ国語くらいです」


「最低でも5ヵ国語は読み書きできるようにしてください」


「5……。思ったよりも大変なんですね」


「剣術の訓練も怠らないように。腕前はなかなかのようですが、まだ足りません。いざというときに身を盾にするのは当然ですが、命を落として、その後レオ様を守れないのでは話になりませんよ」


「は、はい……」


 執事の仕事の重さを知るうちに、ディランの顔がどんどんと引き攣っていくのがジョシュアには見て取れた。





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