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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




 ディランを伴って向かったのは、厨房の奥にある部屋だ。そこには食器棚が据えられており、棚の中には銀食器が整然と並んでいる。その棚は夜間は鍵が掛けられる仕様になっている。


「執事の仕事で最も重要なのが、銀食器の管理です。当邸ではこれまで銀食器の紛失や盗難は起こってはいませんが、毎日必ずチェックしてください」


「はい!」


 ジョシュアは懐から鍵を取り出し、背後に控えるディランに渡そうとしたが、振り返る直前で動きを止める。


「……ディラン、近いですよ」


 振り返ると鼻先が掠めそうになる距離を感じ取り、静かに窘める。


「す、すみません!」


 一歩下がった彼に今度こそ振り返って、長い間ジョシュアが管理していた鍵を渡す。


「とりあえず鍵は預けますが、なにか問題が起ったときにはすぐに報告をすること」


「はい!」


「ディラン。いちいち声を張り上げなくても聞こえます。張り切る気持ちは解りますが、あまり気負っては上手くいくものもいきませんよ。肩の力を抜きなさい」


「そうですよね。解ってはいるんですが、つい力が入ってしまって」


「解ればいいです。では次にまいりましょう」


 髪を掻くディランを促して、ジョシュアが次に向かったのは葉巻を管理している部屋だった。





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