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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に
「大体からして、このお邸は変ですよ。女の人も剣術をやるんですもん。今朝だって僕もどれだけナキラにしごかれたことか」
「レオ様は気に入りの者しか傍に置かれませんからね。兵と男たちだけではレオ様をお守りするには心許ない。だからどのような職務に就いていても……たとえ女性であっても剣術の心得は必要です。キッシュにも最初に説明したでしょうが」
「聞きましたけど……だったら人増やせばいいのに」
キッシュは呟くように不満を漏らす。
彼は元々、レオ様に仕えたくて来たのではないのだ。仕事は至って真面目であるし、物覚えや手際もよく、優秀だ。しかし、引っかかっていることがジョシュアにはあった。
「キッシュ。前々から一度訊こうと思っていたのですが、あなたはレオ様に忠誠を誓っているんですか」
真っ直ぐにキッシュを見据える。すると彼は思案した素振りを見せたあと、口を開いた。
「……正直、忠誠とかよく解らないです。嫌がる僕をレオ様は無理矢理連れて来てますし」
キッシュの言葉に、ジョシュアの顔付きが厳しくなる。
誰よりもレオに忠誠を誓っているのは、ジョシュアだと自信をもって言い切れる。そのジョシュアの前で事も無げに語られると、苛立ちを覚えてしまうのだ。
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