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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に
“よく解らない”だなんて言いつつ、キッシュは充分に忠誠を解っているではないか。
レオがこの国と、住むすべての人々にとってなくてはならない存在だと理解している。自分の身を擲〈ナゲウ〉ってでも、守りたい存在──それがジョシュアたちの唯一無二の主人なのだ。
ジョシュアはキッシュの頭に手を置いて、ポンポンと軽く叩く。
「勉強、頑張りなさい」
「……? はい……」
ジョシュアが微笑むと、キッシュは首を傾げつつ頷く。
「ジョシュアさんも頑張ってくださいね。ディランさんの教育!」
またニヤリとするキッシュを睨みつけると、彼は慌てて本を開いて視線をそこへ落とした。
キッシュと別れたあと見回りを続けていると、遠くから声がしてくる。
「ジョシュアさーん!」
駆けてくるディランの姿に、人知れず溜め息を零す。
「ジョシュアさん! 邸内の点検終わりました!」
眼の前まで来た彼は誇らしげに報告をする。
「そうですか、ご苦労様。ですがディラン。バタバタと走るのはやめなさいと、注意したでしょう」
「あ! すみません、つい……。ジョシュアさんがまだ点検お済みじゃないなら手伝おうと気が逸ってしまって」
髪を掻くディランを一瞥し、「言い訳はしない」と一蹴する。
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